帰省した時の出来事です。
到着して何日か経って挨拶回りも終わり、やることもなく縁側でぼ~としていた。そよそよ爽やかな風が田んぼを渡って吹いてきて、遠くでセミが鳴いている。
福島県の奥のほうにある実家は熊が出る事もあるほど田舎だ。「は~のどかだなあ」心の中でつぶやく。
それからだんだん気持ち良くなってきていつのまにか眠ってしまった。「ん、なんかくすぐったいような?」気配を感じて目が覚めた。
「なに!」見知らぬおばあさんがちょこんと目の前に座って私の腕をさすっている。歳は70とか80とかいってそうでぼろぼろの茶色い着物をきていた。
顔は下を向いていたので良くわからない。「なんなんですか、一体!止めてください!!」と言った。
つもりが声が出ない。しかも体も金縛りにあったかのように全く動かない。
かすれるような声が聞こえてきた。「ぬめら~として、若い衆の肌はたまらんのう~」「ぬめら~として、若い衆の肌はたまらんのう~」ひえ~なんだこのババア!勘弁してくれ!強引に引き剥がそうとしても体は言う事を聞いてくれない。
「ぬめら~として、若い衆の肌はたまらんのう~」とつぶやきながら腕からだんだん顔の方に向かってさすってくる。ついに手が私の顔に届いた。
その時、下を向いていたババアがこちらを見た。ババアの顔はひどくただれていて目も鼻も区別が出来ない。
更に口から血と泡が混じったものを「ボコッボコッ」と吐き出している。私は気を失った。
もう暗くなった頃、親に起こされた。なぜか焼けるような痛みが走る。
「あんた、どうしたの!!」私の腕から顔にかけて肌がベロリと剥けていて血まみれだったのだ。