7時間目はLHRでした。
3年になってからの進路相談の説明を先生が延々としゃべってたんです。もう11月なのに何だか蒸し暑くて、昼過ぎだから生徒はだいたいぼんやりしてて。
LHRのちょうど真ん中へんにきたところで、廊下がうるさくなり始めました。数人が隣から笑いながら歩いてるんですよ。
もうHR終わりかー、うちのクラスも終わろうよーとか野次が飛び始めたんで、先生がうるせーなーって廊下に出て行ったんです。見に行こうとしたら後ろ手にドアを閉められて、しばらく廊下から何も聞こえなかったんですけど、そのうちまだ授業してるクラスあるから静かにしろ!って怒鳴り声が聞こえて、うちクラスは爆笑していました。
その後廊下から帰ってきてから、みんなが誰、誰って先生に聞いたんです。先生はむっつりしながら説明しだしたんで、ちょっと騒ぎすぎたかなってみんな黙りました。
怒鳴ると訛りが出るからって笑いすぎたか、って。そのうち廊下がまたうるさくなり始めて、こっちは暑くて朦朧としているから、先生また注意してよーって誰かが言ったんです。
そしたら先生がだらだら汗をかき始めたんです。みんな最初笑ってたんですけど、先生の様子が変なことに気づいたんです。
シーンとした教室に、廊下の笑い声が響いていました。沈黙の中で一人が言いました。
「…廊下には誰がいるんですか」って。先生は冷や汗をこぼしながら、大声でセンターの説明を始めました。
どうしてはじめに気づかなかったのでしょう。僕らの教室は廊下のどん詰まりで、さっきから大きくなってきている笑い声の主は壁から出てくることになるって。