そのものに出会ったのは、
私が幼稚園に通っていたころ、
ピクニックで行った公園で。
先生らと園児だけのピクニックであった。
昼食を終え、
トイレに行ったら、
そのものが出てきた。
そのものを見たときに、
わけがわからなかった。
この場に居ない、来ていない、母親だった。
だけど、母親とは何かが違う。
恐る恐る、もう一度、そのものを見てあぜんとした。
なぜ、私はこの顔が黒いものを母親と思ったのだろうか。
そのものは、
私に静かに手を差し伸べてきた。
私は怖くなって逃げた。
それから5年後。
そういった出来事を忘れていたころ、
再び、そのものはあらわれた。
宿泊訓練施設、林間学校で。
あの当時のままのかっこうで。
以後、中学、高校の修学旅行先でもあらわれ、
高校のころは定期的にあらわれた。
不思議なことに、
成人してからあらわれなくなったが。
別に、家庭環境は悪くないし、
父母も不仲というわけでもない。
母親もいたって健康であり存命中であるし、
人から恨まれるような性格でもない。
今になって思えば、
神隠しの類だったのかと。