高校時代、友人Wの家に遊びに行った。
休み時間や放課後にWが「我が家は幽霊屋敷だから、肝の据わってない奴は来んほうがええよ、本当に」とちょくちょく言っていたので、半信半疑で泊まらせてもらった。見た目は、団地にあるごく普通の一軒家。
少し違うことといえば、家までの道のりに集団墓地があること。そして、彼女の部屋(2階)から、そこが丸見えなこと。
W曰く、1階に人が居て、2階に人がいなければ2階で騒ぎ、2階に人がいて(例、睡眠時など)、1階に誰もいないときに1階で彼らは騒ぐのだという。1階と2階に人が分散していれば……?階段や廊下が騒がしくなるらしい。
夕方、彼女の部屋でゲームをしているとき、それは起こった。たんたんたんたんっ誰かが階段を駆け上るような音。
「弟くんが帰ってきたん?」「いんや。例の奴じゃろー。
弟は今日友人宅に遊びにいっとるはずじゃけ」扉を開け、確認をしてみると。電気は消されたまんまで確かに誰もいなかった。
もちろん、弟くんは帰っていなかった。不思議に思いつつも、お風呂がわいたということで一階に移動して入浴。
からすの行水である私が先にお風呂を借りて、友人は1階のリビングでクイズ番組を家族と一緒に観賞。きゃはははっ ざわざわ あははははっぽかぽかと湯船でくつろいでいるとき、確かに2階で「若い女性(大学生か20代前半ぐらい)の声」がした。
あわてて飛び出て、友人に確認した。「……今、誰も2階にいないよね?」「おらんけど?」「この辺り、若い女性っている?」「隣はおっちゃんだし、裏と左隣は見てのとおり、山だし。
前は荒地だし」……背筋が凍った。もしかしたら友人Wにかつがれたのかもしれない。
けど、やっぱりあの家は霊の通り道なのだろうかと思う今日このごろ。