小学生の時かな、学校帰りに工事現場があった。
なにかの建物を壊してるっぽいのだけど、本当のところは良く覚えていない。で、いつも道沿いの塀の上にヘルメットが並んで置いてあったんだ。
数は20個ぐらいかな。なんでも面白がってしまう悪ガキだった私は、端から棒で叩いて帰るのが日課だった。
「コン、コン、コン、コン、コン・ ・ ・」いつものように軽く小走りになりながら叩いていく。「コン、コン、コン、ゴッ、コン・ ・ ・」あれ、いつもと違う音が混じってたな。
その時は気にせずそのまま帰った。次の日、又その次の日も同じように叩いていくと、「コン、コン、コン、ゴッ、コン・ ・ ・」やっぱり同じところで違う音がする。
なんでこれだけ違う音なんだろう?とそのヘルメットの前で立ち止まった。何の変哲もないただの黄色いヘルメットだ。
「なんだ?なんだ?」私は持っていた棒でガンガン叩いてみた。すると、ヘルメットの下から、どろりと黒い液体が流れ落ちてきた。
物凄い匂いとともに。一緒にいた友達と動く事も出来ずに見ていると、更に一際黒い塊が落ちてきた。
それは髪の毛のかたまりだった。本当に怖い目に会うと声がでないものだ。
無言で皆ばらばらと家へ走った。走っている最中にサイレンの音を聞いたような気がしたが、そのあとの記憶ははっきりしない。
今でもヘルメットがそのまま置いてあると嫌な感じがする。