当時高校生だったオレは深夜3時頃原付で家路についていた。
雨がパラパラ降り出していたので、普段は通らない近道を通ることにした。その道は、かなり大きな公園の外周道路で、道の両サイドが竹やぶになっている。
この竹やぶがまた広くて、周辺に民家は全く無い。歩行者は公園内を通れるし、なにより薄気味悪いので、その外周道路を人が歩いているのを見たことが無かった(歩道もない)。
原付でその道に入っていく。周りを竹やぶに囲まれているせいか、気温がグッと下がるのを顔に当たる風で感じる。
歩行者どころか車すら走っていない。相変わらず気味の悪い所だ…200m程進み、左に大きくカーブした所にババアがいた。
道路の真ん中に立ち、無表情でこちらを向いている。他に車も無い。
オレとババアだけ。「エッ??」と思った瞬間、フラッと動き、原付の俺を手で止めようとした。
間一髪ババアを避けて通り過ぎる。「ボケーッ!!」と叫びながら振り返ると、ババアはこっちを見て立っている。
オレは走りながら2つ3つ暴言を付け加え、バックミラーで小さくなるババアを見ていた。『確実にボケてしまってるんだな。
家族は何してんだよ。』などと考えながら、その道を抜けていった。
2キロほど走ったところで信号に引っかかった。ボーッと待っていると、後ろから車が近づきオレの真横で止まる。
タクシーだ。なんとなく後部座席を見ると、さっきのババアがオレをジーーッと見ている。
その距離50cm。顔には表情は無い。
只々オレを凝視している。さすがにビックリして目を逸らした。
『よくタクシーもあんな所でババアを乗せたな』と考えていると、信号が青になりタクシーが走り出した。オレもタクシーの後を走りだす。
するとババアがタクシーの座席から体を乗りあげて、後ろの窓ガラスに顔を近づけオレをずーっと見ている・・・『気持悪い!…運転手注意しろよ!』その時違和感を感じてアクセルを緩めた。何かがおかしい・・・・・・・・・ふとタクシーの天井を見てみるとランプが光っている・・・・・空車!?全身に鳥肌が立つ・・・まさか・・・???オレはブレーキをかけて止まった。
タクシーは離れていく。ババアは後部ガラスに内側からへばりついてオレを見ていた。
実体験である。昔その外周道路でどうのこうのって後日談は無い。
そのババアも以降見ていない。タクシーがメーターを下げ忘れていただけ…?ワカラン。