友達から聞いた話。
幼稚園児の女の子と母親がフリーマーケットに出掛けた。その子はとてもぬいぐるみが好きでフリマに行くと必ず人形を買っていた。
そこで女の子は一つの人形の前で足を止めた。「ママ、このお人形買って!!」その人形を見て母親は仰天した。
何とその人形には口が無かったのだ。母親は「こんな気味の悪い人形は止めなさい」と反対したが娘は聞かなかった。
娘は「買ってくれるまで帰らない」とまで言い張り、母親は仕方なく買う事にした。その人形を売っていた老人は「この人形は可哀想な子なので大事にしてあげて下さい。
お代は結構です。ただ、決して娘さんと人形を二人きりにしないように」と念押しした。
娘は人形をとても可愛がった。母親は老人の忠告を奇妙に思いながらも守り、娘が人形で遊んでいる時は側にいるようにした。
それから数ヶ月経った頃、電話が鳴った。「はい、もしもし・・・。
」「奥さん、大変です!!旦那さんが車の事故で大やけどを負いました。手術をしていますが、かなり危険な状態です。
今すぐ市民病院まで来て下さい」妻は血相を変えて市民病院まで走った。母親は病院にかけこんだが、奇妙なことがおこった。
夫は病院に運ばれていないしそんな電話もかけていないというのだ。まさか・・・!!母親はそこで、人形と娘を二人きりにしていたことを思い出し、大慌てで家に帰った。
自宅に駆け込んで娘と人形が最後に遊んでいた部屋のドアを空けた母親の目に無惨な光景が飛び込んだ。部屋は荒れ放題、娘の姿はどこにもない。
中央にはあの人形だけが倒れていた。母親は人形を見て息を飲んだ。
何と人形の顔に口があったのだ。震える母親に、人形はこう喋った。
「ママ、やっと二人きりになれたね!!」