これは友人が10年程前に体験したという話です……。
ある夜、その友人は自分の部屋で寝ていました。そして、夢を見ていたそうです。
それは、彼の友人達と温泉に行く夢でした。しかし、いざ風呂場に着いてみると、友人達の姿はありませんでした。
仕方なく一人で体を洗っていると、その風呂場がおかしい事に気付きました。何人もの人間が、四角い机のようなものに寝かされていて、その周りを一人の男がうろついています。
そしてその男はおもむろに手に持っていた棒のようなものを、口を開けて寝ている人の口に突っ込み始めました。しばらくそうして何人かの口に棒を突っ込んだ後、その男は友人に気付いたようで、近寄ってきました。
「……あなたも、やってみますか?」男は棒を友人に差し出しました。「……いや、結構です」友人は気味が悪かったので、断りました。
するとその男は恨みがましい目で去って行きました。……と突然、友人は目が覚めました。
全身は汗で濡れていました。気持ち悪い夢だったな、と汗を拭おうすると、体が動きません。
そして、呼吸が出来ません。苦しくて、思わず目を開きました。
すると、見知らぬ男が、太い腕を友人の口の中に、喉まで突っ込んでいました。友人は気を失いました。
次の日、目を覚まし部屋を見渡すと、誰も侵入した形跡はなく、友人の身にも何の異常もありませんでした。その友人は、その後何度か不可思議な夢を見たそうです。
自分が死ぬ夢も……。その友人は音信不通になってしまったので、現在生存を確認する事ができません……。