俺にとってはいろんな意味で衝撃的だった話をちょっと。
2歳のころなので覚えてないんですが、夏に沢に父母と遊びに行きました。たまたま雨だったらしく、母は車で留守番、父は俺を連れて傘を差して散歩をしていました。
後で聞いたのですが、その沢は父と母の思い出のデートの場所らしく、当時の父としてはまだまだ恋人気分だった母との思い出の地を、今度は息子とともに歩きたかったのでしょう。そして俺と父がガードレールから沢を見てたとき、ふと父は誰かに呼ばれたそうです。
そして俺の手をふっと離し、別の方向を向きました。しかし誰もいません。
だれだろう?と思っていぶかしみ、息子(つまり俺)の方を向きなおすと、俺が超えられるはずもないガードレールを越え、沢に落ちかけていたそうです。そしてその俺は、沢に向かって「たんたい」とかいいながら笑っており、どう見てもこの世のものではない。
そんな感じの少年が俺の手を引っ張っていたそうです。で、父は超常現象云々と思う前に俺を助けるために飛び込んでくれました。
で、飛び込んだ父を襲ったのはなんと滝。よく頭を打たなかったものです。
無論俺も少年もいません。そこらへんはあまり話してくれないのですが、その後父は数日寝込んだそうなのでよほど長い時間探してくれたんでしょう。
足も何度か引っ張られたそうです。おぼれかけたとか。
で、やむなく滝の裏の空気のある部分に取り付いて、息を吐いたところ俺がその裏の岩のでっぱりに立っていたそうです。成長遅れで、それまで立てなかったのに。
おまけにその岩というのは子供が立ってぎりぎり、2歳児の漏れの頭の上には滝が轟々。少年も見えません。
あまりの事態に父は唖然としつつも、助け出したそうですが。その後、知り合いの神主さんにご機嫌伺いに行ったところ、開口一番父は「ばか者!」と怒鳴られたとか。
言い忘れたんですが、沢に行った日というのはお盆の近くで、祖母の家に行く途中だったのです。で、その沢では結構おぼれる人がいて、当然死んだ人もいたとか。
私はそうやって溺れ死に、盆の間死んだ場所に帰ってきてた少年の霊に誘われたんだそうです。遊び相手を探してたのか、それとも引き込んで殺そうとしてたのかはわかりません。
俺も覚えていません。で、まあお払いをして事なきを得ました。
でも、それ以降俺たち家族はそこに立ち寄りません。父としては妻を得た場所が今度は息子を奪おうとしたわけで、因縁めいたものも感じたんでしょう。
実は後日談めいたものがありまして。うちの一家は基本的に霊感絶無なんですが、その一件以来どうやら俺にはとりつかれ癖(?)がついたようで、自分自身で自覚はないものの気づいたら祟られてた、なんてことが好くあるそうです。
その神主さんも、小学生のころなど「気づいたら変なものを拾ってきて」とこぼしてたそうです。泳ぎに行けば船幽霊かついで帰ってくるし、お化け屋敷に行けば本物の餓鬼を連れてくるしで回りはやきもきしたそうですね。
おかげでそのころの写真のイベント関連の写真は、3枚に1枚が心霊写真・・・。まあ、悪意のある、いわゆる怨霊がいなかったのが幸いでしょうか。
子供のころは、「シラキさん」とか幽霊めいた人と話してたのですが大人の今ではそんなこともなく。しばしば妙な雰囲気を感じる程度でのんびりと暮らしています。