私が古くから付き合っている仕事上の知人Sから聞いた話。
Sは霊感の強い人で、とはいっても普通の人が見えない霊を見ることができる程度で、自分で霊を呼んだり退散させたりはできないそうです。Sは仕事柄、よく大阪に行くのですが、あまり出張費に余裕がないため、あるときNという格安のビジネス旅館に宿泊したそうです。
ただその時(今思い出せば)、その旅館にはじめて入る時、夏なのにただならぬ寒気を感じたそうです。最初に宿泊した日、その部屋の壁にちょっとした水でも垂らした跡があったようです。
でもそれは気にせず一晩明かしました。次の日、夜に仕事からその部屋へ帰ってくると、その水垂れ跡が幅広くなっているのが分かりました。
それでもこの程度で旅館の人に苦情を言っても仕方ないと思い(何しろ安いのだから)、それは気にせず一晩明かしました。この時までは何の霊感も感じなかったそうです。
3日目、夜に仕事から帰り旅館の前に来たとき、また初日のようなただならぬ寒気を感じたようです。そして右脇を見ると白装束の女と男の子が立っていました!!しかし霊にある程度見慣れているSはそう気にせず、というか、霊の2人はこちらをただ見ているだけなので、横目にみながらそのままやり過ごし旅館に入ったそうです。
そしてその夜の11時ごろまでSはTVを見ていたのですが、突然電気とTVが消えたそうです。そして例の水垂れ跡のある壁にさっきの白装束の女と男の子が白く光って立っていました。
といいますか穏やかな表情をしているのはほんのわずかで、みるみると怖いというか何か悶え苦しむ表情に変わってゆきました!!そして、水をくれーっ、水をくれーっ、といいながらSのもとへゆっくりと腕を伸ばして近づいてきます!!霊にみなれたSもこれはヤバイと思いましたが、金縛りにでもあったのか全身に力が入りません。声も出せない状態だったようです。
ただこのとき冷静になって、心の中で、お前たちは何者なんだっ??、と唱えたそうです。そして女が腕をSの肩につけて、空襲で焼け死んだ・・・水がほしい・・・、と悶え叫んだそうです!やがてその女と男の子は顔がただれ崩れてきて、これにはさすがのSも怯えて、ウワーァ、っと叫んだところ、体が動き、ドアを出て、真先にフロントへ行ったそうです。
フロントには旅館の係の人がいて事情を話したところ、やっぱりあなたも見たんですか、昔この辺一帯は大阪大空襲の被害地で、まだ供養されてない霊がこの旅館に現れるらしいんです、と話した。Sはさすがに怯えて、その夜は係の人の脇で布団を敷いてもらい一晩を過ごしたらしい・・・なお、Sは宿泊費は支払い戻してもらったそうだ。
いま現在もそのビジネス旅館は存在するという。。