夏真っ盛りのある日、Aは友人達と海に出掛けた。
海について大はしゃぎ。水に入って泳いだり、ビーチバレーなんかしちゃったりなんかしちゃってね。
そんなこんなで、誰かが「スイカ持ってきたからスイカ割りしよーぜ!」なんてね。言いだした。
女の子なんか、きゃーきゃー言っちゃって、棒が当たっても力がないのか全然割れない。まぁ女の子が一発で「パカッ」なんて割ったら、違う意味で恐怖だね。
とまぁ、そこでAの出番がきた。目隠しをしてグルグル回されて「はいっスタート!」「右!右!」「左!」「斜め左!」なんて、みんな口々に叫んでる。
誰が何を言ってるのか、うまく聞き取れない。『なんだぁ?全然わかんね~!右?左?割れなかったらカッコワルゥ』その時…「左よ」女の声がハッキリ聞こえた『OK左ね!』左に向き直り少し歩くと「そこ、右」『…やけにハッキリ聞こえるなぁ』「そのまままっすぐ」『まぁ、いっか。
まっすぐね』「そこ、目の前にあるよ」Aは思いっきり棒を振り下ろした。「ボゴッ」『やった!手応えあり!』ボゴッグシャッ何度か叩いた後、女の声がした「ザ マ ー ミ ロ」『ザマーミロ?は?』ふと我にかえると周りの歓声が聞こえてきた。
…が、何か違う。女の子の泣き叫ぶ声、人の悲鳴…Aは目隠しをはずすのが怖かった。
恐る恐るタオルをはずすと目の前にはパッカリと見事に割れた、人の頭があった。呆然と立ち尽くすA。
警察に連れていかれたAは必死に説明した。「すぐ耳元で女が言った!その通りに歩いてやっただけだ!」だが警察からの説明はこうだった。
「周りで見ていた人によると、君の近くにはそんな女なんかいなかった。君が一人で少しも迷いもせず、寝ている男に近付き、躊躇せず叩き割った。
」また、「頭を割られた男は相当のプレイボーイで、泣かされた女は数知れず。中には自殺者もいたようだから…」ちなみにこのAは、今まだ刑務所にいるらしいよ