洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】老婆からの電話

    2025/09/08 21:00

  • 今住んでいるマンションに越してきて間もない頃のことです。

    ある日の昼過ぎ、家の電話が鳴りました。

    通知されている番号は同じ市内のものでした。

    電話に出ると、
    耳障りなガサガサとした音がするばかりで声がしません。

    「もしもし」

    と何度か呼びかけると、

    「……○○ちゃん…?」

    と相手が声を発しました。

    しゃがれた声で、
    お婆さんのようでした。


    私は○○という名ではなかったので、
    お間違いじゃありませんか、
    とその老婆に言うと、

    「嘘、○○ちゃんでしょう?
    ○○ちゃん、どうして電話くれないの、
    ずっと待ってたのに」

    老婆はそう言って、
    私が何度違うと言っても全く聞いてくれません。

    気味が悪くなり

    「とにかく違いますから」

    と言って一方的に電話を切りました。

    5分ほどしてまた電話が鳴りました。

    同じ番号からです。

    出ないでおこうかとも思いましたが、
    年配者相手に一方的に切ったりして
    申し訳なかったかなという気持ちもあったので、
    もう一度電話に出てみました。

    「○○ちゃんでしょう?」

    また同じことを言います。

    「先ほどの方ですよね?
    失礼ですが何番におかけですか?」

    何度もかけてこられたら堪らないと思い、
    私はその老婆にしつこく問いかけました。

    しかし彼女は私の質問に答えることはなく、

    「○○ちゃんどうして電話くれないの?」

    と繰り返すばかり。

    怖くなった私は、
    やはり一方的に電話を切り、
    すぐに着信拒否登録をしてしまいました。

    もちろんその後は、
    その番号から電話は来なくなりました。

    友人に話すと、

    「引っ越して電話番号も変わったから、
    前にこの番号を使ってた人が○○さんなんじゃ?」

    と言われ、
    そんなこともあるのかと納得し、
    何日か経つとその電話のことは忘れてしまいました。

    1ヶ月ほど経ったある日の昼過ぎ、
    携帯電話が鳴りました。

    通知番号に見覚えがあります。

    嫌な記憶が蘇ります。

    そんなはずはない、
    自分の携帯番号は友人知人しか知らないはず、
    そう言い聞かせて、電話に出てみました。

    耳障りなガサガサとした音、
    そして、あのしゃがれた声。

    「…○○ちゃんでしょう?」

    私は慌てて電話を切りました。

    しばらくのあいだ震えが止まりませんでした。

    携帯は私用のみで使っており、
    本当に友人知人にしか番号を教えていなかったのです。