私がいた小学校であったお話らしいです。
この学校にいたA君は、運動が苦手でした。その中でも鉄棒が大の苦手で当然体育の授業は大嫌いでした。
そんなある日、体育の時間逆上がりのテストが行われることになりました。その日からA君の特訓が始まりました。
休み時間はもちろん、放課後も遅くまで残って一人で練習を続けました。始めは笑っていた友達も、彼のひた向きな姿を見て練習に付き合うようになりました。
が、何日たっても逆上がりはできず、そのうち友達もあきらめてしまい、再び一人で練習を繰り返していました。でも彼はあきらめませんでした。
そして彼の努力は実を結びテストの前日、ついにできるようになったのです。当日の朝ははりきって家を出たといいます。
当然といえば当然でしょう。ところが彼を思わぬ悲劇が襲います。
青信号を渡っていた彼は居眠り運転のトラックに轢かれてしまいました。遺体の損傷は激しく、首はちぎれ飛び家族でさえ目をそむけたといいます。
その日の夜からです。校庭に彼が現れるようになったのは。
何人かがその影を目撃しましたが、正体は全くつかめませんでした。鉄棒付近に何かがいるとしか・・・。
ある夜、用務員が校庭を見回っているときにそれは正体をあらわしました。鉄棒付近に何らかの影を見つけた用務員は恐る恐る近づきますが、暗くてよくわかりません。
そこで手にしていた懐中電灯を思い切って影のある方向へ向けてみたのです。その光の中に浮かび上がったのは!血走った目を大きく見開いたA君の生首が、口で鉄棒をくわえグルグル回っていたのです。
よほど強く鉄棒を噛んでいるのか、口はもちろん歯まで血に染まっているのです。半狂乱になった用務員はそのまま学校を去ってしまったということです。
A君のクラスの全員が集まり、鉄棒の近くで線香を焚き冥福を祈ったところその影は現れなくなったといいます。よほど見てほしかったのでしょうね。
逆上がりを。