高校生だった頃の話です。
私の所属していた部活では、毎年夏になると校内で合宿をしていました。合宿所は校舎の影になった古い建物で、その二階に宿泊する部屋があるました。
大きな部屋にずらりと金属製の二段ベッドがならんでおり、昼間でも薄暗く、霊感に全く縁のない私も一人ではいたくない場所でした。合宿中の事です。
部活の練習時、後輩が忘れ物をしたと一人で合宿所に行ったのです。そのまま練習を続けていたのですが、直に廊下をばたばたと走ってくる音が聞こえ、真っ青になった後輩が駆け込んできました。
その夏、合宿所を利用していたのは私達の部だけでした。そして、彼以外の部員は全員練習に参加していました。
薄暗い無人の合宿所に入った彼は、少々気味が悪かったのをまぎらわせようと、「誰もいないよねっ!?いないよねっ!いないよねっ!」と、大きな声を出しながら部屋に入っていきました。細い声で「はい」と返事があったそうです。