私は幼い頃霊感が有った気がする。
気がするというのは、どの霊体験も今思い出すと本当に有ったことなのかな?って自分で疑わしくなってしまうからだ。でも、これだけははっきり「本当にあったことだ」って覚えてる。
何しろ友人が交通事故にあったんだから。それはコックリさんをやっていたときの話。
小学生特有の好奇心で、場は盛り上がっていたが10円玉は微妙な動きしかしなかった。スルスル動くなんて事は決して無く、ジリジリと動くものだからYESかNOかの質問がやっと。
それでも気の弱い友人には怖かったんだろうな、「お帰りください」をする前に指を離してしまった。私たちは、呪われるぞーなんて言いながら、その場で「お帰りください」を開始して、コックリさんを終了した。
しかしその日の放課後、その友人が車に跳ねられた。別の友人とプールに向かう途中だった私は、道路に転がっている友人を見てぞっとした。
幸い友人の怪我は骨折程度の軽いものだったんだけど、その現場に居合わせた子の話によると、車が来てるの解ってるのに道に飛び出したとか言うし、事故った友人も「お母さんに呼ばれた気がした」とか訳のわからないことを言うし、ヤバイなぁと思った。でもそこは小学生。
面白がって、「こっくりさんに、あの子が指を離したからお怒りになられたんですか?って聞いてみようか?」なんて、もう一度コックリさんをやろうかって話になった。しかしそれを聞きつけた担任の先生が、物凄い剣幕で私たちをしかったので、コックリさんは中止となる。
「コックリさんだけは面白半分でやっちゃ駄目!!」いつもは優しい笑顔が人気の音楽教師だった担任の、予想外の剣幕に押された私たちは素直に頷いたが、あまりにも酷かったので、後日、どうして?と担任に聞いてみた。すると先生もこっくりさんの怒りに触れたことがあるのだと言う。
「先生が高校生の頃の話なんだけどね…」バレー部員だって先生は、部活終了後、こっくりさんをかなり本格的にやることにしたらしい。人数は四人。
方角から何からきちんと調べてやったこっくりさんは、驚いたことにスラスラと10円玉を動かし、「誰が誰を好き」だなんて他愛も無い質問に答えてくれていたって。調子に乗った先生達は、「じゃあ最後にこっくりさんのお名前をお聞かせください」って言ったらしいんだ。
すると10円玉が動き出し す し こって綴ったそうなんだ。先生達はその名前に笑ってしまったらしい。
すると案の定、こっくりさんがお怒りに。10円玉から指は離れなくなるし、部室の扉は開かなくなるしで、パニック状態。
泣いて謝る時間が三時間ぐらい続いたって。元から優しい類の霊だったんだろうな。
するとこっくりさんはようやく「●●にある大きな木の下まで謝りに来たら許してやる」って言って、みんなを解放してくれたんだって。でも先生は謝罪に行っていないらしい。
怖かったからってさ。こっくりさんってやっぱ遊びでやっちゃいけないよね。