洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】一緒に連れて行ってやるから

    2024/03/29 09:00

  • 曾祖母(母の祖母)の臨終の際の話。

    (俺が生まれる前。昭和40年代の話)当時、曾祖母は既に80代後半。

    老衰で病の床に伏せっていた。自分の死期が近いことを、既に悟っていたようだった。

    曾祖母は、病の床から母(当時高校生)に語ったという。「自分が死ぬのは天命だ。

    この歳まで生きれば十分。特に思い残すことはない。

    ただ、一つだけ、心残りがある」と。あの叔母のことだ、と察しのいい母は直感したようだった。

    母の叔母(俺にとっては大叔母か)に、1人大酒呑みがおり(いわゆるアル中)、毎日酒ばかり呑んでは暴れ、家事放棄、子供への暴力、と家庭生活も破綻していた。親戚中で、問題になっていた。

    「Eのことだ。でも心配するな、私が一緒に連れて行ってやるから。

    」曾祖母は母にそう告げたという。母は、曾祖母が、残された自分達を気遣う気持ちのあまり、突拍子もないことを口走ったのだと思い、うんうん、ありがとうおばあちゃん、と頷き、特に本気にはしていなかった。

    その数日後、祖母が他界した。・・・通夜・葬式の準備で家が慌しかったその日、母は親戚から飛び込んできた知らせに耳を疑った。

    大叔母が、突然死したというのだ。死んだ時間は、曾祖母が死んだ数分後。

    死因は心臓麻痺だとされているが、実際のところ、医者にもよくわからないのだという。・・・おばあちゃんが連れて行ったんだ。

    本当に。母はそう確信したという。