洒落にならない怖い話を集めました。怖い話が好きな人も嫌いな人も洒落怖を読んで恐怖の夜を過ごしましょう!

  • 【洒落怖】夢とシンクロ

    2024/05/29 09:00

  • もう15年くらい前のことになります。

    理由はなんでか忘れましたが、私は一人でリビングのソファーで眠っていました。うちのリビングはキッチンと繋がっていて、私の寝ている位置からは、お勝手口が見えます。

    多分、朝方だと思うのですが、お勝手口の戸が激しく叩かれました。この時間に起きているような人間は家族にはおらず、また家で一番遅くに帰ってくるであろう父も、すでに帰ってきてとっくに就寝しているはずでした。

    私はけげんに思いながらも、おきあがり台所へ向かいました。家の前は道路で、閑静な住宅街の為、この時間帯は人どころか自動車さえも通っていないはず。

    けれど、なおも勝手口は激しく叩かれています。どうしてそうしたのかは全く謎なのですが。

    私は勝手口の戸を開いてしまいました。まず一番最初に私の目に飛び込んできたのは、道路に行列をつくるお坊さんの行列でした。

    彼等の中心には霊柩車のようなものがとまっており、それを取り囲むように、何十人ものお坊さんが列を作っています。彼等は私の方には目もくれず、全員西の方をむいて、低い声で読経を始めました。

    禍々しいその声は、今もよく思い出します。(これはやばいんではなかろうか)私はとっさに勝手口の扉を閉めようとしました。

    しかし、しなびた小さな手がドアノブを掴む私の手首をしっかりとにぎりしめ、それをさえぎりました。「…ねぇ。

    入れてくださいよぉ…。」正直顔は思い出せません。

    男か女かも覚えていません。ただ、いやらしい、とか、気持ち悪い、とかそういうような言葉で形容できるような人でした。

    その人は私の手首を掴んだまま放そうとせず、しきりに「(私の)家へ入れて欲しい」「あなた(私)と一緒なら、(私の)家に入れる」というようなことを、訴えてきました。私は勿論(笑)こんな人を自分の家にあげるのは嫌なので「家にあげることは出来ない」「あなたの家へお帰りになったらどうですか」などとできるだけ丁寧に説明したのですが、その人には聞き入れてもらえませんでした。

    そのうちしびれをきらした私は「ここは私の家で、あんたの家じゃない!分かったら早く帰れ!!お前なんか家に入れられるか!!!」と怒鳴ったところ、その人は目を丸くして(血走っていました)今までのへりくだった態度をひるがえし、汚い言葉で私を罵りはじめました。なんて言っていたのかはわかりません。

    でも最後にその人は、大きな声で私を罵り私に飛びかかってきました。ここで、私は長い夢からさめましたw洒落怖で一番嫌われる類いの夢落ちですがwしかしながら、続いてしまいます。

    目がさめると今まで私が寝ていたリビングで、眠る前と何もかわったところはありません。(嫌な夢を見た)私はとりあえず水でも飲もうと、ソファーから体をおこそうとしました。

    しかし、起き上がろうとしても、体が動きません。どこかで、何かがガシャーンと壊れる音がしました。

    (やばい、やばい。絶対にやばい。

    )逃げようとしても体は動きませんし、声を出そうとしても喉の奥のほうの皮膚が張り付いたようになって、声が出せません。もう一度、何かが壊れる音がして、それからあの夢のお坊さんが唱えていたお経が聞こえてきました。

    低くて禍々しい声。私は必死になって体を動かそうとしました。

    しかし、金縛りにあった多くの方がそうであるように、体は動かず、声も出ず。それでもどうにか自由を得ようともがいている私の目に、足下で蠢く毛の固まりのようなものがありました。

    それなんであるか確かめるために、私は目をこらします。それは女の人でした。

    髪が長かったので、女の人だと思ったのですが、ひょっとしたら違うかも知れません。彼女は私の足下でもごもごと動いていました。

    (この人は、体が重くて起きあがれないんだな)とっさにそう感じましたが、気持ち悪いものは気持ち悪いw彼女は這うように私の足首を掴んできました。さっきから聞こえる、耳もとのお経も消えません。

    (怖い怖い怖い!!神様!!!)日頃の無信心を棚に上げてw私はそう念じ、いつの間にか気絶していましたww夢の中に出てきたお坊さんも、嫌らしい口調で話す人も、私の足下で蠢いていた女の人も、結局のところ何者だったかは、わからずじまいです。もっともらしいオチとかついてればよかったんですが。

    ほんの後日談となりますが、昨日妹の部屋で頭を垂れて佇んでいる女の人の姿を見かけました。妹に話したらものすごく嫌がられたのですが(そりゃそうだ)あのときの彼女かどうかは、確かめるすべは残念ながらありません。