昔、コンサートなどのスタジオでアルバイトしていたときの話です。
そこは昔から心霊現象が相次ぎ、今では玄関の場所まで変えたほどの地元では有名な心霊スポットでした。私の仕事は、コンサート後のお客の誘導と会場の掃除。
その日も、コンサートが無事終わり、いつものようにお客の誘導を始めました。会場の中から、「お出口あちらです」「外に出て頂くようお願いします」とお客の後ろから声をかけ、全員に会場を出でもらってから掃除です。
いつものように、お客の最後尾に着いて誘導し、私も一旦外に出ました。そして後ろ手にドアを閉めた・・・そう思った時です。
後ろから髪をひっぱられたんです。グイッと。
そのときは、会場に誰かお客さんが残っていたのだと思い、とっさに「すみません!!」と振り返りました。まだお客が残っていたのにドアを閉めようとしてしまい、ドアに挟まれそうになったお客が髪をひっぱったのだ、と思ったんです。
振り返った私の視界の端に映ったのは、灰色っぽい腕・・・。ゆっくり閉まっていくドアの内側へするっと引っ込んで行きました。
その後すぐにドアを開けましたが、中には誰もいません。その後、体調を崩し、髪がずるずると抜け出し、バイトは辞めてしまいましたが、忘れられない体験です。