兄と、兄の友人に実際に起きた話し。
兄は、箱根にあった古びた洋館へ、友達数人と肝試しに行った。伝え聞く所によると、その洋館へは、白い服を着て行くと呪われると言う。
当時怖いもの知らずな兄と友人たちのうち二人の計三人が、白い服を着て出かけ、腐った扉から中に入ったりして、その日は何事もなく帰って来た。それから、三年経ち肝試しのこともすっかり忘れて、それぞれが社会人として慣れ始めた頃、その時白い服を着て行ったうちの一人のIさんが、ノイローゼで自殺したとの一報が入った。
悩みを聞いてあげる時間が取れなかったことを、仲間たちが大変悔やんだそうだ。そして、その年の秋、兄の誕生日のこと。
兄の親友で、白い服を着て行ったもう一人のKさんが、兄の誕生日を祝うためにうちに彼女と訪れた。しかし、兄も不在で、Kさんは、うちの近くにあった別の友達の家に寄り、彼女の門限だからと、帰った。
別の友達の家からすぐの信号で、Kさんの乗ったバイクは、信号無視の居眠り運転のタクシーにぶつかられた。後ろに乗っていた彼女は、辛うじて無事だったものの、前に乗っていたKさんは、ほぼ即死だったであろうとの結果を伝えられた。
兄は、自宅にいなかった自分を責めながら、親友との思い出に浸る日が続いた。そんな中、箱根に肝試しに行ったことを思い出し、次は自分の番だと怯え、霊能者の元へ行った。
お祓いをしてもらい、何とか落ち着きを取り戻し、忙しい日常へと戻っていった。そして冬になり、兄は事故を起こした。
死線を彷徨ったものの、一命を取り留め、先に亡くなった二人がいると、訳のわからないことを叫んだりしていました。それも退院するまでの事で、病気から出て自宅療養になると、二人の墓前に行き無事の報告をした。
Kさんのバイク事故には、更に後日談があり、同乗していた彼女は、精神が崩壊してしまい、未だ社会復帰が出来ておらず、タクシーの運転手も、裁判の期間中に、表向きは自責の念に駆られて自殺をしたことになっている。バイク事故から、20年ちょっと経っているので、その古びた洋館がまだ取り壊されず残っているかは、当方の知る由もない。