確か中2の時の正月だったと思う。
俺は貯まったお年玉で念願のラジカセを買おうと思い、親父に車で大型の電機店に連れて行ってもらったんだ。店内を色々物色している内にデザイン・機能・値段共に納得いく一台を発見。
で、購入を決めたんだけど、俺の物を買う時の癖があって、積んであったり並べてある物の一番下や一番奥の物を選んで買う訳ね。本でもCDでも何でも。
んでその日も何台か山積みされているそのラジカセの箱をわざわざどかして、一番奥で一番下の物を持ってレジに向かった。購入を済ませて帰宅後、早速梱包を解いて弟と一緒にラジカセをいじくってた。
ここ押すとCD入れるとこ開くんだ~、とか、アンテナ伸びる伸びるwとか。初めて自分で買った大きい買い物(中2にしては)だったし、テンションも上がっていたんだよね。
んで、その流れでカセットテープを入れるとこを開くボタンをポチっと押した。キィ~となってカセット部分が開く。
すると中にはすでにカセットテープが入ってたんだ。弟と二人で「???」てなって、とりあえずそのカセットを取り出した。
そのカセットはかなり古い物のようで、よくある透明で綺麗な物ではなく、くぐもった灰色をしていて、昔の演歌とか入ってる様な感じの物だった。そのカセットには曲タイトルなんかを書いてあるラベルが貼ってあり、そこには汚い字の走り書きでこう書いてあった。
「清人の声」俺は「きよひとの声て何だ?」と思い、ちょっと怖かったけど、中身に興味が湧いてもう一度そのカセットをセットし、再生ボタンを押した。すると少しの沈黙の後、微かに何か聞こえてきた。
男の声だ。男が何か小さな声でブツブツブツブツ呟いている。
無茶苦茶怖かったけど、何を言ってるのか確かめようとステレオにピタッと耳を当てた。(何故か音量を上げるという選択肢は頭になかった)ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…男はずっと変わらぬ調子で呟いている。
しばらく聞いてると、その呟きが何か一定のリズムに乗ってる事に気がついた。そして更によく耳を傾けると少し音量が上がり、そこでやっと男が何を呟いているのかが解った。
「これ…お経だ…」急激に恐怖心が上昇し、弟とパニックになって急いでストップボタンを押した。そして「お母さーん!!お母さーん!!ちょっと来てー!!」と叫びまくった。
「何!?どーしたの!?」と慌てて部屋に入ってきた母にそのテープを聞かせ「…これ何?」と聞いたが、もちろん答えは「…わかんない」だった。期待と喜びの対象だったラジカセは数分で恐怖の対象に変わってしまった。
その後、しばらくラジカセに近づかないでいたが、数日たつと恐怖も薄れて普通に数年使っていた。ただ、いつの間にかカセットはなくなっていた。
母が処分してくれたのか?と思って尋ねようと思ったけど怖くて聞けなかった。まぁ別に呪いとかはなかった(と思う)からよかったけど…未だにあれが何だったかわからない。
帰省した時にカセットの事を母に尋ねてみたたけど、母は「そんな事あったっけ?」と忘れている様子だ。夢だったんかな?と思って弟にこんな事あったよな?と聞いてみると、「あったあった…怖ぇから思いださせんなよ」と怒られた。
夢じゃなかった。じゃあのカセットは何だったんだろう?スッゲー気になります…。
誰か似た様な体験した人いませんか??